エンゲージメントという言葉がよく使われるようになりました。
しかし、何となく使っているけど、ホントのところエンゲージメントって何だろう? と思っている人も多いのではないでしょうか?
engagement(エンゲージメント)は本来、「約束」「契約」という意味です。
しかし日本でエンゲージメントという言葉が使われるとき、「約束」「契約」というニュアンスで使われることは少ないような気がします。
例えば、「従業員エンゲージメントを高める」ということが使われることがありますが、この場合のエンゲージメントは「約束」「契約」というニュアンスではないですよね。
日本では、マーケティング領域では、消費者と商品、企業との強い結びつきや思い入れを意味するようになりました。
人事領域では、会社と従業員のつながりということになります。
使われるシーンによって「エンゲージメント」の意味は変わります。
この記事では、主にWEB領域で使われるエンゲージメントについてまとめます。
YouTubeにおけるエンゲージメントとは?
YouTubeにおけるエンゲージメントは、YouTubeヘルプによると次のように説明されています。
YouTube エンゲージメント指標(視聴回数、高評価、低評価、チャンネル登録者数)には、視聴者が動画やチャンネルに反応した数が反映されます。動画やチャンネルの人気を知るうえで重要な指標となります。
この説明ではエンゲージメント指標として、視聴回数、高評価、低評価、チャンネル登録者数の4つが挙げられているわけですが、おそらくYouTubeが重視するエンゲージメント指標はこれらではないと思います。
なぜなら、YouTubeチャンネルアナリティクスの「エンゲージメント」画面で表示されるのは、「総再生時間」と「平均視聴時間」だからです。
また、YouTubeの収益化に必要な条件が
●チャンネル登録者1,000人以上
●過去1年間の総再生時間4,000時間以上
上記であることを考えても、最も重要な指標は「総再生時間」ということになるでしょう。
これはYouTubeの側に立って考えれば当然です。
たくさん再生されている=たくさんユーザーに見られているということです。
そしてYouTubeは企業からの広告費がメインの収入です。
企業はたくさん見られているチャンネル・動画に広告を出したいはずです。
だからこそ、総再生時間が最も重要なエンゲージメント指標とされているわけです。
YouTubeにおいてエンゲージメントを測る指標は他にも「高評価数」「コメント数」などが考えられますが、コメント数については、高評価コメントと低評価コメントをどう線引きするかは主観的になってしまいます。
YouTubeにおけるもっとも重要なエンゲージメント指標は「総再生時間」です。
ただ、総再生時間は、動画の本数が多かったり、1本の動画の時間が長いと(内容が面白ければ)有利なので、投稿本数が少ないうちは、平均視聴時間をエンゲージメント指標として重視するのがいいかもしれません。
Facebookにおけるエンゲージメントとは?
FacebookにおけるエンゲージメントはユーザーがFacebook上で起こすアクションの総数です。
Facebookのヘルプによると、投稿のエンゲージメントを構成する指標は下記の通りです。
投稿のシェア
(出典:https://www.facebook.com/business/help/735720159834389)
投稿のリアクション
投稿の保存
投稿へのコメント
ページへの「いいね!」
投稿でのインタラクション
動画の3秒再生数
写真ビュー
リンククリック
Facebookページ・エンゲージメントの確認方法
Facebookページへの投稿について、エンゲージメントは、ページインサイトから確認できます。

①ページの概要横にある期間を選択する

②画面下にある「投稿のエンゲージメント」をクリックする

③投稿ごとのエンゲージメントを確認できます。

ここで、エンゲージメントとして計測されているのは
・クリック
・リアクション
・コメント
・シェア
上記のようになっています。
リアクションとは、「いいね!」、「超いいね!」、「うけるね」、「すごいね」、「悲しいね」、「ひどいね」のことです。
ちなみに、リアクションの中にある「ひどいね」というのは、マイナスのエンゲージメントではなく、「その話、ひどいよね~、頑張ってね」という共感のエンゲージメントです。
投稿のエンゲージメントで見るべき指標
エンゲージメントは多ければ多いほど良いわけですが、エンゲージメントの数は、リーチ数によって変わってきます。
リーチ(ユーザーのニュースフィードに表示された回数)が多ければ、エンゲージメント数は多くなる傾向があります。
しかし、その投稿の共感度合いは、エンゲージメントの数よりもエンゲージメント率のほうがわかりやすいです。
投稿が共感されたかどうかのエンゲージメント率は、次のようにして確認できます。
※「シェア」の横にある▼をクリックして、エンゲージメント率を選択する

エンゲージメント欄が%表示に変わります。

理想はリーチが多くて、エンゲージメント率が高いことですが、なかなかそうはいきません。
リーチ数が増えるということは、いろんな価値観を持った人が増えるということですから。
多くの人に刺さる投稿というのは難しいです。
リーチが少なくても、エンゲージメント率が高いということは、コアはファンがいると考えられます。
Facebookページの運用者によって、リーチを重視するか、エンゲージメント率を重視するかは変わるでしょう。
重要なのはバランスかなと思います。
エンゲージメント率の高い投稿(共感してもらえる投稿)とはどんな投稿かを突き詰めつつ、リーチを増やしていくというのが、最も成果につながりそうです。
Twitterにおけるエンゲージメントとは?
Twitterにおけるエンゲージメントは次の手順で確認できます。(PCの場合)
①各投稿をクリックしたときに下に出てくる「ツイートアクティビティを表示」をクリック

②「すべてのエンゲージメントを表示」をクリック

Twitterにおけるエンゲージメントとは下記4つになっています。
・メディアのエンゲージメント数(クリック数)
・いいね
・詳細のクリック数
・リンクのクリック数
この合計が「エンゲージメント総数」に反映されています。
これは各投稿ごとのエンゲージメントを確認する方法です。
アカウント単位の分析は、下記の手順で確認できます。(PCの場合)
①画面左のメニューから「もっと見る」をクリック

②「アナリティクス」をクリック

これで過去28日でのパフォーマンスを確認することができます。

・ツイート数
・ツイートインプレッション
・プロフィールへのアクセス
・フォロワー数
上記4つのデータが確認できます。
アカウント単位ではエンゲージメントは確認できないようです。
アカウント単位でエンゲージメントを確認したい場合は、SocialDog(ソーシャルドッグ)というtwitterアカウント運用ツールを使うと確認できます。
ただし、エンゲージメントを確認する機能を使うのは有料になります。
こんな感じでツイート分析をしてくれます。

ただし、ソーシャルドッグで言うところのエンゲージメントとtwitterでのエンゲージメントは違うようです。
ソーシャルドッグでのエンゲージメントとは
・@ツイート
・いいね
・リツイート
この3つをエンゲージメントとしており、そこから平均エンゲージという指標を出しています。
インプレッション数よりエンゲージメント数よりエンゲージメント率
Twitterに限らずどのSNSでもそうですが、インプレッション数よりエンゲージメント数(もしくはエンゲージメント率)のほうが重要です。
どれだけ見られたのか(インプレッション数)は重要ですが、それ以上に意識したいのが「エンゲージメント率」です。
エンゲージメントの総数をインプレッションで割ると、エンゲージメント率が計算できます。
いくらインプレッション数が多くても、エンゲージメント率が低ければそのツイートはユーザーに届いているとは言えません。
ツイートの内容を変える、ツイートの投稿時間を変える、ツイートの長さを変えるなどして、エンゲージメント率を高める工夫が必要です。
フォロワーを増やすにはプロフィールへのアクセスを増やす
Twitterアカウントをフォローするまでの行動は次のようになることが多いです。
Twitterアカウントをお持ちの方は、ご自分が誰かのアカウントをフォローするときの流れを思い出してみてください。
ツイートを見る⇒この人、面白そう⇒どんな人なんだろう⇒プロフィールを見に行く⇒フォローする
こんな流れになっていないでしょうか?
先ほど、Twitterのアカウント単位のアナリティクス画面を紹介しましたが、そこには「プロフィールへのアクセス」が表示されていました。
つまり、Twitter社もこの指標が重要だと考えているということでしょう。
「プロフィールへのアクセス」数が少ないということは、ツイートが面白くないということです。
ツイートの内容を見直す必要があります。
(偉そうなこと書いていますが、私のアカウントも大したことない・・・)
Instagramにおけるエンゲージメントとは?
Instagramにおけるエンゲージメントについては、運営元であるFacebook社からの公式発表はありません。
公式発表はありませんが、インスタグラムのインサイトを確認すると、「コンテンツでのインタラクション」に表示されているのは、「いいね!」と「コメント数」です。

ということで、インスタのエンゲージメントを測る指標としては「いいね数」「コメント数」と考えればよいのではないかと思います。
フォロワー数もエンゲージメント指標と考えることはできますが、投稿ごとのエンゲージメントは「いいね!」でしか測れません。
Instagramへの投稿の「いいね!」はフィードを見れば確認できますが、面倒です。
スマホでインスタのエンゲージメントを確認する手順
Instagramのアカウントをビジネスアカウントに変更すれば、スマホでエンゲージメント(インタラクション)を確認することができます。
その手順は次の通りです。
①スマホで自分のアカウントを表示して右上のメニューをタップ

②設定をタップ

③アカウントをタップ

④アカウントを切り替えをタップ

⑤ビジネスアカウントに切り替え

⑥自分のアカウントに戻って、インサイトをタップ

概要が表示されます。左上の期間は「過去7日間「過去30日間」が選択できます。

投稿ごとのエンゲージメントを知りたい場合は、投稿をタップします。
写真の下にある「インサイトを見る」をタップします。

リーチとインプレッション数が表示されます。

Instagramにおけるリーチとインプレッションの違いは下記の通りです。
●リーチ数⇒投稿を閲覧したユニークユーザー数
●インプレッション数⇒投稿が閲覧された合計回数
1人のユーザーが投稿を10回閲覧すると「インプレッションは10」「リーチ数は1」とカウントされます。
エンゲージメント率を求める分母としては、リーチの方が適切です。
インスタのエンゲージメントをPCで確認する方法
スマホでのエンゲージメント確認方法を説明しましたが、投稿管理をするにあたっては、スマホよりPCのほうがやりやすいという人もいるのではないでしょうか。
実はInstagramもPCで投稿管理をすることができます。
PCでInstagramの投稿を管理するには、Facebookページを作成する必要があります。
Facebookページを作り、インスタグラムのアカウントと連携させることで、PCでInstagramの投稿管理ができるようになります。
その手順を解説します。
①Facebookページにアクセスすると、「Business Suiteへ」というリンクがあるので、そこをクリックします。

②ビジネススイートの左側のメニューから「設定」をクリックします。

③「Instagramとのリンク」をクリックします。

④「Instagramをリンク」をクリックします。

⑤「アカウントをリンク」をクリックします。

⑥Instagramのアカウントにログインします。

これで設定完了です。
ビジネススイートに戻って、「インサイト」をクリックします。

左側の「コンテンツ」をクリックして、右上の投稿の横にある矢印からInstagramのみチェックを入れます。

すると投稿ごとにリーチと「いいね!」数を確認できます。
Instagramの場合は、「いいね!」数÷「リーチ」をエンゲージメント率と考えて良さそうです。
また、インスタグラムのアカウントを連携させておくと、ビジネススイートの左側メニュー「投稿」からInstagramへ予約投稿をすることもできます。

Instagramへの投稿をPCから行う方法は、デベロッパーツールを使うという方法もありますが、ビジネススイートを使うほうが便利です。
Facebookページを作成する手間はかかりますが、PCからInstagramへ投稿できるようにしておくと、その後の作業がかなり効率化されます。
少し話がそれてしまいましたが、インスタグラムにおけるエンゲージメントについてでした。
結局のところエンゲージメントとは何か?
この記事の最初にエンゲージメントについて次のように書きました。
engagement(エンゲージメント)は本来、「約束」「契約」という意味です。
しかし日本でエンゲージメントという言葉が使われるとき、「約束」「契約」というニュアンスで使われることは少ないような気がします。
例えば、「従業員エンゲージメントを高める」ということが使われることがありますが、この場合のエンゲージメントは「約束」「契約」というニュアンスではないですよね。
日本では、マーケティング領域では、消費者と商品、企業との強い結びつきや思い入れを意味するようになりました。
ビジネス領域で使われるエンゲージメントの意味は、企業と顧客の「つながり」という意味で使わることが多いです。
もっと言うと、エンゲージメントとは「愛着」「共感」という意味と考えてもいいかもしれません。
例えば、アップルやスターバックスをイメージしてもらうとわかる通り、アップル製品のユーザーや、スターバックスのお客は、その企業のブランドに共感し、愛着を持っている人が多いです。
顧客とのつながりには、エンゲージメントだけでなく、「コントラクト(契約)」「ロイヤルティ(忠誠心)」というものもあります。
ひと昔前は、「顧客ロイヤルティを高めるには?」というコンテンツが流行ったことがありましたが、ロイヤルティは上下関係の概念があるためか、SNS全盛の今の時代には合わなくなっているように思います。
エンゲージメントというのは、上下関係ではなく、横のつながりとして捉え、顧客と対等の関係性を築くことが大切です。
コントラクトでもなく、ロイヤルティでもなく、エンゲージメントこそが企業の売上を伸ばす鍵になっているのではないでしょうか。
では、どうすれば顧客とのエンゲージメントを作ることができるのか?
ここからは、その点について考えていきたいと思います。
顧客とのエンゲージメントが確立されるとどうなる?
エンゲージメントは「愛着」「共感」であると書きました。
顧客との間にエンゲージメントが確立されると、企業(お店)と顧客の関係は、「売る、買う」という関係から、「仲間」という関係になっていきます。
例えば、個人経営の居酒屋には、たいてい常連がいます。
なぜ常連になるかというと、いつも割引してくれるからではなく、何かサービスしてくれるから、でもなく、そのお店が好きだからです。
損得の関係ではなく、マインド的な結びつきになります。
この店を応援したい、成長して欲しい、という気持ちが出てきます。
その店が有名になってファンが増えると、自分のことのように嬉しかったりします。
そして、こんな人気が出る店に、自分は最初から通っていた、自分の目利き力は素晴らしい! と自尊心が高まったりもします。
このように、顧客との間に良好なエンゲージメントが確立されると、顧客は売上をもたらしてくれるお客様というだけでなく、企業(お店)の側に立って、友人・知人に口コミをしてくれる広告塔になってくれます。
では、どうすれば顧客とのエンゲージメントを確立できるでしょうか?
エンゲージメントを確立する手順
顧客と良好なエンゲージメントを結ぶには、企業(お店)の側に明確なメッセージがなくてはなりません。
スターバックスであれば、「サードプレイスになる」というように。
このようなメッセージを作るには、「そもそもなぜこの事業をやっているのか?」というミッションを言語化する必要があります。
そして、お客様にどうなってもらいたいかというビジョンも必要です。
ミッション・ビジョンを達成するために、何を提供するのか、ということを考えます。
お客様にどうなってもらいたいかというメッセージを伝えることで、お客の側は「これを使うと自分にこんないいことがありそうだ」「こんなふうに楽しくなりそうだ」というイメージができます。
お客様にどうなってもらいたいか、というメッセージを作ることが、エンゲージメントを確立する第一歩です。
そのメッセージは抽象的なものより、具体的なもののほうが響きます。
飲食店であれば、店を出るときに「おいしかったと感じて欲しい」という抽象的なメッセージではなく、「どんなふうに美味しかったと感じて欲しいか」「どんな気持ちになって欲しいか」というところまで突き詰めて考えたほうが、顧客に刺さりやすいメッセージになります。
顧客とエンゲージメントを結ぶには、「感情」を動かさなければなりません。
では、WEBマーケティングにおいて、顧客の感情を動かすにはどうすればいいでしょうか?
WEBマーケティングにおける顧客感情の動かし方
顧客とのエンゲージメントを高めることで、顧客から会社の味方、応援者になってくれると書きました。
そうなると当然LTV(ライフタイムバリュー)が向上します。
この状態に持っていくのに、つまり顧客とエンゲージメントを結ぶには、顧客の「感情」を動かす必要があると書きました。
では、WEBマーケティングにおいて、どうすれば、顧客の(もしくは見込客の)感情を動かすことができるでしょうか。
それは、情報発信だけでなく、価値観発信をすることです。
先ほど、アップルやスターバックスの例をあげて、顧客エンゲージメントが高い企業はメッセージを発信していると書きました。
性能が優れているとか、メニューとか、そんな情報だけを発信するのではなく、「私たちは顧客にどうなってもらいたいか」というメッセージ(価値観)を発信しています。
情報を発信しても、消費されて終わりですが、価値観を発信することで、その価値観に共感してくれる人が集まります。
心が動いた人が集まってくるということです。
価値観というのは、難しく考える必要はなく、自分の考え方、ものの見方のことです。
情報発信と価値観発信の違いを私が過去に書いた記事を例に説明します。
情報発信した記事の滞在時間と価値観を発信した記事の滞在時間の違いを見てください。
情報発信した記事がこちら
【事例】レッドブルから学べるコンテンツマーケティング成功法則を解説
6,000文字ほどの記事です。
こちらの記事の滞在時間は1分です。

一方、価値観(自分の考え方)を発信した記事がこちら
リップヴァンウィンクルの花嫁の感想が面白くない?考察が甘いのでは?
同じく6,000文字ほどの記事です。
こちらの記事の滞在時間は8分28秒です。

2つの記事は直帰率があまりにも違いすぎるので、単純に滞在時間を比較することはできないのですが、それでも同じ文字量の記事で、8倍も滞在時間が違います。
下の記事は映画レビューの記事なので、自分自身の考察、感想を書いています。
一方、上の記事はコンテンツマーケティングで成功している企業の事例を紹介した記事です。
どうしても情報が中心の記事になってしまいました。
本当は、これに自身の考察を入れていけばよかったのかもしれません。
これらはブログの記事ですが、SNSへの投稿でも同じように、情報だけではなく、自分の価値感を同時に発信するということが、WEBマーケティングにおける顧客感情を動かすポイントであるように思います。
現在のGoogle検索結果はまだまだ情報発信コンテンツが上位を占めていますが、近い将来、情報だけのコンテンツは駆逐されていくのではないかと予想しています。
もちろん、電車の時間を知りたいとか、サッと情報だけ取得できれば良いというニーズに対しては情報だけを掲載すればいいのですが、顧客エンゲージメントを高めるためのコンテンツは情報だけでは評価されなくなってくるのではないでしょうか。