IPアドレス調べると個人を特定することはできるのでしょうか?

答えは、IPアドレスだけで個人を特定する情報を得ることはできません

「でも、インターネット上の掲示板で他人を誹謗中傷したやつが逮捕されたりするじゃないか」と思った人もいるかもしれません。

これはIPアドレスをもとに個人を特定しています。

「さっきと言っていることが違うじゃないか!」と言われそうですが、これはIPアドレスとは何かについて簡易的にでも理解しておくと意味がわかります。

この場合は、下記のような流れで個人が特定されることになります。

被害を受けた人が

①サイト管理者に発信者IPアドレスの開示を要求する。拒否されたら裁判所へ「発信者情報開示仮処分命令申し立て」を行います。弁護士に依頼することになるでしょう。

②発信者のIPアドレスから契約しているプロバイダを特定します。これは誰でも簡単に調べることができます。

③プロバイダに発信者の情報開示を請求します。しかし通常は拒否されます。プロバイダによっては弁護士を通じて依頼すると任意の請求に応じてくれる場合もあるようですが、応じない場合は「発信者情報開示請求」の訴訟を起こすことになります。

裁判所に認められれば、プロバイダは発信者の情報を開示します。

つまり、プロバイダはIPアドレスから個人を特定できるということです。

これはどういう仕組みなのでしょうか?

この記事ではIPアドレスとは何かについて、わかりやすく解説します。

そして「発信者情報開示請求」訴訟を起こさなくとも、IPアドレスから身バレしてしまう可能性があることについて注意を喚起したいと思います。

ストーカー被害を防ぐためにも、IPアドレスからどこまでの情報を手に入れられるかは知っておいて損はないと思いますよ。

IPアドレスについての記事を書こうと思った理由

私のメールボックスにも詐欺メールが毎日数件は届きます。

Gmailを使っているので、フィルターが強く、多くの詐欺メールは迷惑メールに分類されるのですが、その中面白いメールがありました。

Amazonからのメールのようです。

支払い方法を更新しろというメール

この「支払方法の情報を更新する」をクリックするとどうなるかというと、アマゾンそっくりのサイトに誘導されて、そこで入力されたクレジットカード情報を盗むということですね。

まあ、普通の詐欺メールです。

何が面白かったかというと、これ↓。

送信アドレスのドメインが「amezon.co.jp」です。

アメゾンって・・・(笑)

やるな!と思ってしまいました。

このメール見て笑えてしまい、そういえば、昔ワンクリック詐欺のサイトに誘導されたことあったなあということを思い出しまして。

昔のワンクリック詐欺のサイトって、だいたい以下のような表示をされます。

ご入会ありがとうございます。

あなたのパソコンのIPアドレス 192.168.〇.〇
あなたの契約しているプロバイダ ocn.jp
あなたのID番号 ABCD1234

登録手続き完了しました

ご利用料金 50000円
お振込み期限 ご入会日より1週間以内

支払い期限を過ぎても入金確認ができない場合、規約に基づきIPアドレス、アクセスログをプロバイダに提出し、お客様のプロバイダ契約情報から、ご自宅・勤務先等へ直接請求させていただく可能性がございます。その際は遅延損害金として1日につき1,000円を加算し請求されることがあります。

「お前のIPアドレス記録したから、調べれば住所もわかるからな!」という脅しですね。

そんなことを思い出してしまい、「IPアドレスについても書いておこう」と思った次第です。

ではIPアドレスとは何かについて簡単に説明していきます。

IPアドレスには2種類ある

IPアドレスはインターネット上の住所のようなものだと言われます。住所である以上、同じものがあっては困ります。

それぞれの住所は世界にひとつだけのはずです。

しかし、IPアドレスには、住所のように世界にひとつだけの「グローバルIPアドレス」と、同じものが使われる可能性のある「プライベートIPアドレス」の2種類があります。

なぜそんなことが起こるのかについては、インターネットへの接続がどのように行われているかを知っておくと理解がしやすくなります。

インターネットへはどうやって接続されている?

スマホでインターネットの情報を見るとき、サファリやGoogleクロームなどのブラウザを立ち上げてインターネットにアクセスしています。

インターネット上の情報を見るには、ブラウザと通信回線だけでは不十分です。

もうひとつ、必ず必要なものがあります。

それは、プロバイダです。

プロバイダは「インターネット接続事業者」という名前の通り、ユーザーとインターネットをつなぐ役割を果たしています。

正確にいうと、プロバイダとは別に「回線提供者」がいて、プロバイダは回線提供者から回線を借りて、インターネットと接続しています。

このプロバイダに割り振られるIPアドレスはグローバルIPアドレスです。

グローバルIPアドレスは世界にひとつ

グローバルIPアドレスは全世界でひとつだけです。データ送受信のときに、同じアドレスが複数存在すると送り間違えの元です。

グローバルIPアドレスは特定の国や地域に属さない「ICANN」という組織によって管理されています。

ICANNから日本の管理組織であるJPNICに割り振られ、そこからプロバイダを経由してユーザーへと割り振られます。

IPアドレスは、XXX.XXX.XXX.XXXのように0~255の数字4組で表記されます。

168.192.0.1とかですね。

IPアドレスの組み合わせ総数は256×256×256×256となり、約43億個です。

これでは、世界中のスマホやPCそれぞれに固有のIPアドレスを割り振るには全然足りないことは簡単に想像できますよね。

IP枯渇問題といいます。

IPをすべてのユーザーに唯一のものを割り振ると足りなくなるので、プライベートIPアドレスが使われることになります。

プライベートIPアドレスは同じものが存在する

プライベートIPアドレスとは自宅や会社など特定のネットワークの範囲内で用いられるIPアドレスのことです。

特定のネットワークとは同じプロバイダを使っている人たちのネットワークといっていいでしょう。

グローバルIPアドレスとは異なり、そのネットワーク内で識別できれば良いので、ほかのネットワークでは同じIPが使われている可能性があることになります。

プロバイダがそれぞれのユーザー(端末)に割り振っているので、プロバイダは誰にどのIPを割り振ったかは当然わかります。

そのIPを割り当てた人の契約情報を確認すれば、個人を特定できるというわけでです。

グローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの関係

もう少し具体的にグローバルIPアドレスとプライベートIPアドレスの関係性を見てみましょう。

たとえば、会社で共用のWi-Fiを使用するケース。

この場合、グローバルIPアドレスが割り振られるのはWi-Fiルーターです。

そこに接続するスマホやPCなどにはプライベートIPアドレスが設定されます。

これらプライベートIPアドレスが割り振られることではじめてルーターを介してインターネットに接続できるようになります。

各端末はプライベートIPアドレスを経由し、グローバルIPアドレスを持つルーターを通してインターネットに接続しているということです。

グローバルIPアドレスを外線電話、プライベートIPアドレスは内線電話によくたとえられますが、まさにそのようなイメージです。

マックやコメダ珈琲、コンビニで使える公衆Wi-Fiでも、各機器にはプライベートIPアドレスが割り振られ、ルーターを介してインターネットへと接続しています。

プライベートIPは動的なものが多い

プロバイダがユーザー(端末)にIPを割り振るとき、2つのタイプがあります。

動的IPアドレスと固定IPアドレスです。

動的(可変)IPアドレス

インターネットに接続するたびに、プロバイダから新たなIPアドレスが自動的に割り振られるのが動的タイプです。

通常はこちらのタイプです。

家庭用Wi-Fi、公衆Wi-Fiなどではこちらのタイプが採用されています。

動的タイプの場合、IPアドレスはプロバイダから自動的に割り振られるため、特別な接続設定は必要ありません。

また、番号が変動するので、ユーザーが特定されるリスクも低いです。

固定(不変)IPアドレス

一方、常に同じIPアドレスで接続したいという要望に応えるのが固定IPアドレスです。

どのような場合に固定IPが使われるかというと、接続した人(端末)を特定する必要があるときです。

例えば会社のシステムで、誰でもアクセスできては困る場合、どこからのアクセスか特定できるようにしておく必要があります。

接続が許可された人であることを特定するために固定IPアドレスは使われます。

固定IPアドレスでインターネットに接続する際はユーザーが手動で接続設定する必要があります。

リモートワークで自宅から会社にアクセスする場合など接続設定が必要な場合などです。

ちなみに、固定IPアドレスはほとんどのプロバイダではオプションプランになっています。料金もプロバイダによって異なります。

IPアドレスの注意点-身バレする理由

最後にIPアドレスから身元を特定される危険性があることをお伝えします。

これまで書いてきたように、普通はIPアドレスだけで身元を特定されることはありません。

しかしIPアドレスを調べることによって、プロバイダ情報は誰でも簡単にわかります。

そのIPアドレスを調べること自体が難しいのですが、サイト運営者がGoogleアナリティクスを導入している場合、ある設定をすることで自分のサイトへの訪問者のIPアドレスを確認することは実は可能です。

GoogleアナリティクスはIPを取得していますが、表には出していません。

しかし、特定のIPアドレスからのアクセスを除外する設定がある以上、IPを取得しているのは当然です。

GoogleアナリティクスでIPを確認できるようにする設定は面倒だし、これまで書いてきたように、IPを特定したところで、個人情報にたどり着けることは犯罪でもない限り無理です。

ただし、IPアドレスからネットワークの範囲を絞り込むことは可能です。

例えば、この記事でも書きましたが固定IPを使っている場合。

会社や学校などです。

Aさんが会社のパソコンからあるブログに訪れて、そこに書かれていることに腹を立てて、ブログのコメントに罵詈雑言を書き込んだとします。

(会社のパソコンでそんなことするアホはいないと思いますが)

ブログオーナーのBさんはブチギレして、Aの正体を突き止めようと、アクセス解析からIPを特定したとします。

そのIPが〇〇株式会社が使っているものだとわかりました。

ブログオーナーBさんは、その会社のホームぺージを訪れます。

するとそこには従業員の名前と顔写真が掲載されていました。

書き込みの内容から男か女か、年代はどれくらいか、このようなことをたどられて身バレするかもしれませんん。

ここまでくれば、そしてここまでやる人間なら、このあとAさんを特定するのは可能な気がしませんか?

これは高校、大学に設置されている端末を使っても同じようなことが考えられます。

固定IPからの投稿は突き止められやすいので、恨みを買うような投稿はやめておいたほうがよさそうです。

固定IPでなく、動的IPだったとしても、身バレする可能性がゼロとは言えません。

動的IPでも地域が限定される可能性はあります。

地域に密着したプロバイダを使っている場合とかは特にそうです。

IPアドレスから岡山県岡山市に限定されたネットワークだと判明したとします。

書き込みの内容などで検索して、同じような主張をしているtwitterアカウントを突き止めました。

そのtwitterアカウントはフェイスブックと連動していて、フェイスブックに個人情報が・・・

なんて可能性もゼロではありません。

極端な例をあげましたが、ネット上で匿名だからと思って誹謗中傷をしていると、思わぬところから身バレするリスクがありますよ、ということです。

相手が法的手段に訴えてきて、プロバイダが情報開示したら、それこそ一発で身バレしますしね。

IPアドレスの話題から最後はおかしな話になってしまいましたが、インターネットを通したところで、人と人との関係はリアルと変わりません。

リアルでもバーチャルでも、人間関係でトラブルを起こさないようにしたいですね。