
今回はサイボウズ式のコンテンツマーケティングの特徴と成功要因を徹底考察します。
サイボウズ式とは
サイボウズ式は、2012年5月にサイボウズが始めたオウンドメディアです。
※オウンドメディア(英: owned media )とは、自社発行の広報誌やパンフレット、インターネットの自社ウェブサイト・ブログなど、企業や組織自らが所有し、消費者に向けて発信する媒体を指す。
(引用:Wikipedia)
第1号の記事に、次のようなサイトコンセプトが紹介されています。
「新しい価値を生み出すチームのための、コラボレーションとITの情報サイト」。
(引用:サイボウズ式)
なぜサイボウズ式が生まれたかについても書かれているので、ぜひ目を通してみてください。この記事がその後のサイボウズ式の歩む方向を決定づけています。
「私が知りたい」が基準です。自分たちで読んでみたい記事を作りたい。
(引用:サイボウズ式)
サイトタイトルの下には「新しい価値を生み出すチームのメディア」とより簡潔に表現されています。
サイボウズ式は、国内でオウンドメディアを使ったコンテンツマーケティングの事例として、真っ先に取り上げられるメディアです。

私の個人的見解を申し上げると、サイボウズ式はオウンドメディア構築の王道からは外れた作り方をしています。
大変失礼ながら、このメディアが成功したのが不思議でなりません。
しかし、よくよく考察してみると、サイボウズ式コンテンツマーケティングが成功した要因が見えてきました。
この記事では、サイボウズ式コンテンツマーケティングを徹底考察し、あなたの会社にも取り入れることのできるコンテンツマーケティング成功のコツをまとめます。
サイボウズ式の現状をチェック
まずはサイボウズ式の特徴を数値面から確認しておきましょう。どの程度のパフォーマンスを生み出すサイトなのでしょうか?
サイトPVは月間平均20万PV(最高値は40万弱)と紹介されています。
(出典:「サイボウズ式」はいかにして“KPIなし”で成果を出したか)
サイボウズ式の編集長として有名な藤村さんのインタビュー記事です。
この記事が2017年のものなので、現在はもう少し増えているかもしれません。
ちなみに、Similar Webで調べてみると、直近2020年6月の月間セッション数は202,977となっていました。
平均ページビュー数が1.29なので、PVはだいたい26万PVくらいでしょうか。

ただし、Similar Webは概算でしか算出できないので、本当のところはサイボウズ式の「中の人」しかわかりません。
ただ、サイボウズ式サイトのデータで注目したいのはPVではありません。そもそもサイボウズ式編集部自体がPVを目標にしていないようですしね。
注目したいデータは流入チャネルの割合です。

ダイレクトが34.31%ありますよね。かなりダイレクト流入が多いと言えます。
これは私が考える良いサイトが持つ特徴のひとつです。
※ダイレクト流入とは、URLを直接入力したり、ブックマーク(お気に入り)からアクセスしてサイトに訪れることです。ただし参照元不明(どこからアクセスされたかわからない)のアクセスもダイレクトに分類されます。
【コラム】私が考える良いサイトの定義
ちょっと話はそれますが、私自身が考える「良いサイト」の定義についてお話しておきます。
人によって良いサイトの定義はさまざまでしょうが、私が考える「良いサイト」の定義、それは「ダイレクト流入および指名検索流入の多いサイト」ということです。
なぜか?
ダイレクト流入・指名検索流入が多いサイトというのは、Googleというプラットフォームに依存しなくて済むからです。
どういうことかと言うと、例えばサイボウズ式が「グループウェア」というキーワードでGoogle検索の1位にいたとしましょう。
「グループウェア」というキーワードの月間検索ボリュームは、ツールで調べてみると、だいたい1万ぐらいなので、1位になると、だいたい1万の3~4割、つまり月間3,000~4,000のアクセスが見込めます。
しかし、Googleのアップデートによって、検索順位が落ちるとアクセスは激減、場合によっては0になります。
でも、ダイレクト流入(URL打ち、ブックマークなど)は、検索結果に左右されません。
指名検索とは、Googleやヤフーの検索窓に「サイボウズ式」と入力して検索することですが、これはサイボウズ式のサイトに行きたくて検索するわけだから、検索結果に他のサイトが表示されても関係ありません。
だから、ダイレクト流入・指名検索が多いサイトは「強いサイト」「ファンのたくさんいるサイト」ということになります。
ちなみに日本で最もダイレクト流入が多いサイトはどこだかわかりますか?
ヤフージャパンです。
ヤフージャパンのダイレクト流入の割合は93.73%。
検索する人もほとんどが「ヤフー」「yahoo」と検索するはずなので、ほとんどがダイレクト流入のみといっても過言ではないでしょう。
まさに国内最強のサイトだと思います。
ちなみに、オウンドメディア、コンテンツマーケティングで超有名なあるサイト(○○部)の流入チャネルはこんな感じです。
サイボウズ式よりトラフィックは圧倒的に上ですが、オーガニック検索がほとんどです。
Googleのアルゴリズムアップデートで順位下落のリスクが常につきまといます。
とはいえ、本来オウンドメディアを構築するときは、この状態(自然検索流入が多い)になることを狙って構築するのが王道です。
たくさんのキーワードで上位表示するように狙って記事を書くのが通常のオウンドメディア構築手順です。
後で詳しく説明しますが、サイボウズ式はそのような作り方をしていません。サイボウズ式はオウンドメディア構築の王道からは外れています。それなのに成功している異質なメディアです。
では、次からサイボウズ式コンテンツマーケティングの特徴について見ていきたいと思います。
サイボウズ式コンテンツマーケティングの特徴
ネット上で各メディアがサイボウズ式の特徴としてまとめていることに加え、私自身が「なるほど」とか「すごい」と感じたサイボウズ式の特徴についてまとめました。
全部で8項目になりました。

①KPIがない
②製品をPRしない
③ターゲットは顕在客ではなく潜在客
④企画が面白い
⑤撤退基準がない
⑥外部ライターの登用
⑦写真・イラストのクオリティ
⑧二次情報だけの記事を作らない
それぞれ見ていきます。
①KPIがない
サイボウズ式を立ち上げた当初は、月間3万ユニークユーザーというKPIを設定していたそうですが、それを達成して以降はKPIを作っていません。
(参考:https://cont-hub.com/blog/01/1556/)
これはサイボウズ式運営の目的が「認知向上」であったためです。
「1万ページビュー(PV)で10件しかコメントが付かない記事よりも、1000PVで100のコメントが付く記事」を目指すということです。
(参考:https://webtan.impress.co.jp/e/2016/04/27/22198)
オウンドメディアでコンテンツマーケティングを展開する場合、成果を数字で見えるようにするのが普通です。
KPIに設定する項目として、通常はPV(ページビュー)、CV(コンバージョン数)、CVR(コンバージョン率)などがあります。
もちろん数字は把握しているでしょうが、こういうものを一切設定していないというのは珍しいと思います。
KPIを設定していなければ、どこにリソースを投入するべきかの判断が「勘や経験」になってしまいがちです。
逆にKPIを設定すると、それを追いかけることが目標になってしまいがちで、メディアのコンセプトが置き去りにされたコンテンツが作られることも考えられます。
結局のところ、KPIを設定する、しないが重要なのではなく、「なぜKPIを設定するのか」「なぜKPIを設定しないのか」をメンバー間で共有することのほうが重要だと思われます。
②製品をPRしない
コンテンツマーケティングに成功している企業に共通しているのが、製品・サービスをPRしないということです。
レッドブルもLEGOもそうです。
なぜかというと、アウトバウンドマーケティングではモノが売れない時代になってきているからです。
こちらの記事にも書きましたが、消費者は企業広告を信用しなくなっています。
製品をPRしないコンテンツマーケティングが現在の主流です。
しかし、サイボウズ式の凄いところは、それを2012年の段階で始めていることです。
SEOが簡単だった時代に!
③ターゲットは顕在客ではなく潜在客
サイボウズ式のサイトを見ていて、面白いなと思うのが、ビジネスのターゲットとサイトの読者ターゲットが違うことです。
サイボウズはBtoB企業なのに、サイトはBtoCを目指しているように見えます。
しかも若いビジネスパーソンがターゲットになっているように感じます。
これは、読者が将来、会社の中で意思決定権を持つ立場になったときに、サイボウズを思い出してもらうため、という深慮遠謀のようです。
だから製品の紹介はどうでもよくて、サイボウズがどんな会社なのかを知ってもらい、好きになってもらうことがサイトの目的になっているんですね。
サイボウズはサイトにSEO対策をしているのではなく、読者の頭の中のSEO対策をしていると言えるでしょう。
「チームワーク」「コミュニケーションツール」「グループウェア」などの言葉が頭に浮かんだときに、サイボウズが一番最初に想起されることを狙っているということです。
長い目で見て、ブランドを定着させることがサイボウズ式コンテンツマーケティングの目的なんですね。
④企画が面白い
藤村編集長がたびたびインタビューで答えられていますが、企画はそうとう練り上げているようです。
サイボウズ式のターゲット読者に役に立つ内容なのか、他社でもできることではないのか、このようなことが吟味されるようです。
サイボウズ式の編集会議の企画書は、次の5点で構成されています。
(出典:コンテンツマーケティングの教科書)
1.なぜ、そのテーマをやりたいのか(理由)
2.そのコンテンツを一言でいい表わす(コンセプト)
3.誰に伝えたいのか?(ターゲット)
4.そのコンテンツは何を生み出すのか?(バリュー)
5.なぜそれをサイボウズ式でやるのか(コンテクスト)
これら5点が明確になっていないと、サイボウズ式のコンテンツにはなりません。
だからこそ「サイボウズ式らしさ」が担保されているのでしょう。
なかでも「面白い企画だな!」と思ったのがこちらのコンテンツです。
「サイボウズってこんな会社なんだ」とありありとイメージできます。
Twitterのプロフィール、古くないですか?──新人からダメ出しされた副社長に、イラっとしなかったのか聞いてみた
サイボウズマーケティング本部の新人4人が社内グループウェアで副社長のtwitterプロフィールにダメ出しをして、さらにその件について、副社長にインタビューするという企画です。
何に驚いたって、新人が副社長を「理さん」と呼んでいること!
※副社長は山田 理(やまだ・おさむ)さん
そして副社長に自由すぎる質問を投げかけ続けます。
・新人にダメ出しされて、ぶっちゃけ、どんな気持ちでしたか……?
・教えてもらう相手が新人だったことに抵抗はありませんでしたか?
・人事制度など、理さんの強みの領域で意見されたらどうするんですか?
・「若造のくせして何を言ってんだ!?」と思うようなことも……?
「お前ら、よく副社長にそんなこと聞けるな!自由すぎるだろ!」とツッコミたくなりませんか?
サイボウズは自社メディアでこんな企画が通る会社です。
サイボウズ式をはじめて優秀な人材が集まるようになったそうですが、なるほどと思わせられます。
⑤撤退基準がない
個人的に一番驚いたのは、「撤退基準がない」という点です。
サイボウズ式は最初は数名の社内スタッフでスタートしていますが、それにしても彼らの人件費、時間を投資しているわけです。
普通は〇年後に成果が出ていなければ撤退という基準を作ってスタートすると思います。
基準がないとしても、やっているうちに「効果ないね」となれば撤退するはず。
この基準がなく、2020年時点で8年も継続しているというのが、サイボウズ式の最も凄い点だと感じます。
失礼ながら、サイボウズ式は立ち上げてから、かなりの期間、何の成果も上がらなかったと思います。
なぜなら、サイボウズ式のコンテンツを見ればわかりますが、まったく検索流入を狙っていないから。
オウンドメディア構築の王道は検索流入を増やすために、想定読者が検索するであろうキーワードで上位表示を狙って記事を積み上げていくことです。
最初にサイボウズ式の流入チャネルを紹介しました。今ではオーガニック検索からの流入がありますが、これはたまたまです。
おそらく編集部がまったく意図していないキーワードで上位表示されているのではないでしょうか。
例えば、「酒 嫌い」というキーワードでこちらの記事がGoogle検索1位(2020年7月)になっていますが、こんなキーワードで上位表示しようなんて意図しないでしょう。

コンテンツを作り続けているとこういうことも起こるんですね。
サイボウズ式が成功した最大の理由は「継続」にあると思います。
⑥外部ライターの登用
数名ではじめたサイボウズ式ですが、今では編集部は80名以上になっています。
その中にはフリーランスのカメラマン、ライターも多数いらっしゃいます。
コンテンツに外部の視点を取り入れることで、サイボウズ式の価値観は守りつつ、コンテンツに広がりを持たせることができます。
外部ライターの文章を見ることで、社内スタッフも刺激を受けると思います。
⑦写真・イラストのクオリティ
写真はプロのカメラマンに撮影してもらっているようです。
ブログなのでテキストコンテンツがメインです。だからブログに掲載する写真にはそこまでこだわっていないオウンドメディアが多いのではないでしょうか。
イラストは人それぞれ好き嫌いはあるでしょうが、一貫したタッチで描かれていて、「サイボウズ式らしさ」を生み出すひとつの要因になっていると感じました。
⑧二次情報だけの記事を作らない
④で紹介した企画へのこだわりを考えれば、二次情報だけの記事を作らないというのは当然の姿勢です。
しかし、世の中のオウンドメディアの大多数は二次情報だけのコンテンツです。
まとめサイトなんてその典型です。
まとめサイトにも読者の情報検索コストを低減するという価値はあるのですが、読者が欲しいのは情報であって、そのサイト自体にロイヤリティを持つことはほぼありません。
代わりのきくメディアということです。
サイボウズ式にはインタビュー形式の記事が多いですが、これは一次情報を重視していることの表れでしょう。
以上、サイボウズ式コンテンツマーケティングの特徴を8つに分けて説明しました。
サイボウズ式コンテンツマーケティングがもたらした効果
サイボウズ式を運営してから徐々に以下のような効果が出てきたということです。

1.売上を求めていないのに売上が上がった
サイボウズ式では製品のPRを一切行わず、企業のブランディングに注力していました。
それにも関わらず売上が上がったという事です。
サイボウズの有料サービスの購入者に、サービスを知ったキッカケを聞いてみると、4.4%がサイボウズ式を最初の認知経路に挙げたそうです。
(参考:コンテンツマーケティングの常識)
「何を買うか」から「誰から買うか」の時代になっているということでしょう。
同じようなサービスは世の中にあふれていて、他社と差別化した商品を投入しても、すぐに真似される環境の中で売上を伸ばすには、会社に好感を持ってもらうというのが遠回りなようで手堅い方法なのかもしれません。
成果を感じるまでに時間がかかるので、多くの企業がコンテンツマーケティングに取り組んでも脱落していきます。
そう考えると、社内の様子をコンテンツにして発信することによる企業ブランディングというのが、他社と差別化する最良の方法と言えるかもしれません。
2.インナーブランディング
サイボウズ式のコンテンツにはSNSでバズったものが多数あります。
大事な商談の日なのに、保育園に預けられない──両親の代わりに営業チームで子守をした話
フェイスブックいいね!2.1万
自由や自立を求めるのって、実は残酷なんです──為末大×青野慶久「個人の時代への備え」
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「おかしいことをおかしい」と組織で言うには、1人で食えるだけの自立が絶対に必要──岡田武史×青野慶久
フェイスブックいいね!3929
自分の会社のコンテンツが世の中に評価されるというのは気分がいいでしょう。
「チームワークあふれる社会を創る」というサイボウズのビジョンを定めたときにも、なかなか社内に浸透しなかったそうですが、サイボウズ式で世界に発信して、反響を得られたことで、ビジョンへの理解が進んだのです。結果として、サイボウズで働くことへの誇りを持つ社員が増えているようです。
(参考:コンテンツマーケティングの常識)
3.人材採用への好影響
2019年にキャリア採用で入社した方にアンケートを取ったところ、「『サイボウズ式』が応募を決めたきっかけです」と答えた人が約90名中30名いました。
(引用:「ブランディング・プロモーション・リクルーティング」“三位一体”を実現するサイボウズ式オウンドメディア術)
サイボウズ式を立ち上げた2012年当時は離職率が高かったそうです。
かつては採用においてスキルを重視していた時期がありました。そういう採用スタイルは、離職率が高かったことの一つの要因だと思います。
(引用:「ブランディング・プロモーション・リクルーティング」“三位一体”を実現するサイボウズ式オウンドメディア術)
それが今ではサイボウズ式のコンテンツがリクルーティングにも良い影響を与えています。
おそらく、サイボウズ式を見て応募を決めた人は極めてミスマッチの確率が低いと思われます。
企業理念、会社の雰囲気に惹かれて応募しているわけですから。
サイボウズ式は「売上」「社員のモチベーション」「採用」と会社の根幹にかかわる部分で大きな結果を出しているということです。
サイボウズ式コンテンツマーケティングの成功要因を考察
サイボウズ式コンテンツマーケティングが成功した要因は次の3つだと考えます。

1.継続
2.経営陣の理解
3.情報プラスαのコンテンツ制作
1と3は私たちにも参考になる真似ポイントです。
それぞれ解説します。
1.継続
これが最大の要因でしょう。
最もシンプルで最も難しい成功法則。やみくもに続ければいいというわけではありませんが、コンテンツマーケティングに限らず、誰もが認める成功の最大の秘訣です。
サイボウズ式は何度も書きますが、オウンドメディア構築の王道ではない作り方をしています。
オウンドメディア構築の王道とは、検索経由の流入をメインに考える作り方です。
つまり、想定する読者が検索するであろうキーワードに答えるコンテンツを量産することです。
キーワードの検索ボリュームはあらかじめリサーチすることができるので、このキーワードで記事を書いて上位表示すれば、これくらいのアクセスが見込めると想定できます。
それを積み上げていけば良いので成果を予想しやすいのです。
上位表示できなければ、なぜ上位表示できないかを分析して対策すればよいので、コンテンツの改善もテクニカルに行えます。
しかしサイボウズ式はまったく検索流入を狙ったコンテンツの作り方をしていません。
検索流入が増えているのは、あくまでも結果的なものです。
そしてサイボウズ式のようなオウンドメディアの作り方は結果が出るまでにかなりの時間がかかることが多いです。
検索流入を狙っていないのですから、どこからアクセスが来るかというと、当初はほぼSNSのみだったのではないかと想像します。
SNS経由でサイボウズ式を知って、コンテンツが気に入った人がブックマークをする、その人がSNSで拡散する、という小さな流れを繰り返してきたのではないでしょうか。
これは相当時間がかかるはずです。
たまたまSNSでバズったからといって、アクセスが増えるのはその一瞬だけです。
SNSでコンテンツを見た人のほとんどは継続的にアクセスしてくれるわけではありません。
だから立ち上げ当初はなかなか成果を感じられなかったと思うのです。
成果を感じられない時期が半年以上続いて、それでも継続できる会社はどれくらいあるでしょうか。
担当者の心が折れるのももちろんですが、「そんな無駄なことはやめろ!」と経営陣に言われるのが普通でしょう。
継続するために絶対に必要だったのが、経営陣の理解だと思うのです。
2.経営陣の理解
ブランディングが目的のオウンドメディアだったとしても、月間PVが20万程度だったら、一部上場クラスの会社の経営陣なら、多くの場合ストップをかけるような気がします。
ストップをかけないまでも、無関心になるでしょう。
トップが無関心になれば、担当者は必ずやる気をなくします。
自分の仕事の意義を感じることができないのですから。
サイボウズ式は立ち上げから社長、副社長がコンテンツに頻繁に登場します。
経営陣のサイボウズ式への熱意を感じない人はいないでしょう。
だからこそ、成果の上がらない時期を担当者は乗り越えることができたのではないでしょうか。
企業のオウンドメディアが成功するには、トップの理解が欠かせません。
3.情報プラスαのコンテンツ制作
検索流入を狙うオウンドメディアというのは、情報を提供するだけで終わりがちです。
例えば、「オウンドメディア」というキーワードで上位表示させるコンテンツを作るとき、コンテンツの内容は、「オウンドメディアとは」「オウンドメディアの作り方」「オウンドメディアの事例」など、情報の羅列で終わっているものがほとんどです。
オウンドメディアを作るときの苦労など、”感情”が語られるコンテンツはほぼありません。
なぜならそんなことを書くより、検索ユーザーの知りたいことに答えるだけの記事のほうが、現在のGoogleには評価されやすいからです。
その点ではGoogleの検索アルゴリズムもまだまだだなと思います。
しかし、情報だけのコンテンツって読んでいて楽しいですか?
役に立つ情報を提供するのは当然ですが、検索上位を狙うコンテンツって無味乾燥なコンテンツが多いと感じます。
”人”を感じないのです。”感情”がないコンテンツです。
だから、検索上位にいれば、毎月一定のアクセスはあるのですが、検索ユーザーはたどり着いた”サイト”に興味を持つわけではありません。
”情報”に興味があるだけです。
知りたいことを知ったら使い捨てにされるサイトです。
しかしサイボウズ式は違います。
サイボウズ式のコンテンツはどの記事を読んでも必ず”人”を感じます。
コンテンツ制作者の視点が入っています。
だから読んでいて面白いのです。
サイボウズ式コンテンツマーケティングの特徴のところでも書きましたが、企画がしっかりしていることが、情報だけのコンテンツで終わらない理由だと思います。
以上、サイボウズ式コンテンツマーケティングの成功要因について考察しました。
サイボウズ式は「認知度を上げる」ことを目的としているというより、「エンゲージメントを高める」ことを目的にしているように感じます。
500万PV、1000万PVなど爆発的にPVが増える作り方ではありませんが、コンテンツを作り続ける限り、読者とのエンゲージメントはますます高まっていくと思います。
情報だけでなく、”人”が感じられるコンテンツを作るというのは、私もぜひ真似したいポイントです。